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Fate/stay night [Heaven's Feel」を観てきました。 [アニメ、映画]

僕は萌えが嫌いだ。しかし、特に深夜アニメは好きだという困った性分である。
アニメの専門店等のテリトリーで専門用語を使いながら、批判や興奮しまくるオタクは嫌いだ。
でも、ステレオタイプにテレビの流れているライフスタイルを演じさせられている自称リア充は、テリトリーをわきまえない分、大嫌いだ。
しかし、そんなことは、どうでも良くなる映画、音楽、アニメ、小説等の名作も確かにあります。
今日は、そのうちの一つとして三連休中に観てきた映画を紹介したい。
大人気アニメシリーズの劇場版「Fate/stay night [Heaven's Feel」。映画三部作の第一部。
原作:奈須きのこ/TYPE-MOON、音楽:梶浦由記、アニメーション制作:ufotableそして監督:須藤友徳
URL:http://www.fate-sn.com/
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何がこの作品の素晴らしさであるか要約すると「光彩を十二分に活用した映像美」、「音楽」そして「登場人物への愛情」である。
1.「光彩を十二分に活用した映像美」
この作品の舞台は冬木市という地方都市が舞台であるが、(物語構成上の都合もあるが)夕方から朝にかけての時間が主たる時間軸。その中で郷愁と儚さを感じる夕焼け、期待と不安を感じる飴色の逢魔が時、確実に何かいる・何か起こるであろう夜、そして日常に回帰できる喜びを表す朝をそれぞれ美しく表現している。また、通学や岐路に一人で二人で三人でとおる坂道が登場人物の心情をうまく表している。
ただし、この作品の曲者なところは平穏の象徴である朝食の時に流れるテレビで淡々と語られる事件・事故のニュース。そのニュースに関するイベントに主人公達が不意に故意に巻き込まれるのである。テレビの中と現実が実は続いていることを想起させるうまい仕掛け。いつのまにか惨劇とも言える事件・事故のニュースを期待している観客がそこにいる。
2.「音楽」
梶浦さんの音楽は場面に適切にあっており、登場人物の隠れた本音のようなものを引き出している。
特に、お気に入りは土蔵でヒロインの桜と主人公の衛宮士郎が灯油ストーブを囲んで語り合うシーン。近づきたいけど近づけない距離感、聞いてほしいけど知られたくない気持ちを微かな灯油の揺らめいた音ごと見事に一幅の絵画にしているようだ。また、声優の演技を邪魔しない、むしろ何倍にも幅を広げている点では寿司名人のシャリのようでもある。
音楽に疎い僕は十分に表現できないのが、悔しくて悔しくて・・・
3.「登場人物への愛情」
主人公の士郎、そしてヒロインの桜の日常・非日常を含めて極めて精緻に表現しているのに感嘆を禁じ得ない。むしろ、くどいほどに描写している。しかし、このくどさは胸焼けなどせずにむしろ、青春期の夕方に感じた感情を想起させるほどに、みずみずしくそして儚いとさえ感じさせる人物描写の妙とさえ言える。着目したいのはこの物語の悪の権化といえる間桐臓硯と、故人であり主人公の理想である養父の衛宮切嗣のモノローグ。
臓硯「人の命を貪りながら生き伸びる我を軽蔑するか」、アサシン「いいえ、それでこそわが主に相応しい」。
切嗣「ヒーローは期間限定で、オトナになると名乗るのが難しくなるんだ。」、士郎「じゃあ俺が代わりになってやるよ(映画の後半ではどうすれば、ヒーローになれるんだと自問)」

観客から見ると、主人公もヒロインも理想(切嗣)も、悪(臓硯)さえも夕焼けの中にいるに過ぎないと気づかされる。どんなに、手を伸ばしても届かないものがあり、それでも諦められないものがある。
違いは、より昼に近いか夜に近いかだけ。
それは現実の我々もそう違わないのではないかと、みなさんも劇場に運んで見てください!!

追記:因縁の起源である養父の衛宮切嗣が活躍する「Fate/Zero」そして、直近にテレビでやっていた「Fate/stay night [Unlimited Blade Works]」も、ぜひご覧になることをお勧めします。劇場版が10倍以上楽しめるはずです。















タグ:Fate/stay night
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