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信長の野望と小説(12) [歴史小説とゲーム]

先日、旅先に行く途中に前々から気になっていた「宇喜多の捨て嫁 著:木下 昌輝」を新幹線の中で読みました。感想としては、人間描写が巧みで、宇喜多直家やその娘、妻、母を中心となる人物群が
巧みに描かれていて、ストーリーはミステリー仕立てになっており、親しみやすい佳作という印象です。

本書は高校生直木賞を受賞しており、それにも首肯できる素晴らしい作品です。
最終章に全ての伏線を回収している点は圧巻の一言に尽きる。 断言します。腹裂きの姥と通称されている流民の真実を知った時、あなたは涙します。

個人的には、同賞の選考委員が発言していた「グロテスク」という点も全然、気に ならなかった。(むしろ、現実のワイドショーの描写の方がきつい様に思いますよ!?)
しかし、残念だった点もいくつかあったので、ご紹介します。
◇残念だった点
1.表現が過剰すぎる。
コメント:作中の重要なキーワードに、「無想の抜刀術」というものがあるが、それに光武帝、曹操そして信長を絡めてくる必然性がない。また、なんで都合よく分岐点にキーパーソンが立ち会うのでしょうか?
2.全般的に戦争・外交の描写が極端に割愛されている。
コメント:デビュー作だからかもしれないが、足ではなく、資料に準拠して頭で書いた作品であるような印象を感じる。歴史小説の描写で描くのが難しいのは戦の描写だと個人的に思う。また、直家や同重臣等の書簡を読み込んだのか疑問に思う。
3.ミステリー仕立ての親しみやすい作品であるがゆえ、戦国時代を描く必然性を感じない。
コメント:歴史小説としての必然性を感じない。むしろ、現代小説の企業ものとして描いた方が面白いと感じる。

残念だった点を引き算しても、著者の筆力には驚きを感じざるを得ない。 木下氏が今後、どのような作品を発表してゆくか期待をもって見守りたい。




◇締めとして
11月30日発売の信長の野望では、宇喜多直家が梟雄として描かれるのか、英雄としてえがかれるのか興味深い。発売日が待ち遠しい。

タグ:宇喜多直家
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