SSブログ

羽生善治竜王への国民栄誉賞の授与決定についての雑感 [批評]

1月5日の閣議において、羽生善治氏及び井山裕太氏に対し国民栄誉賞が授与されることが決定されました。
菅官坊長官の記者会見によると、授与理由は以下の通りということです。
首相官邸HP(1月5日付け)より、原文ママ引用。
「本日(1月5日)、内閣総理大臣は、羽生善治氏及び井山裕太氏に対し、国民栄誉賞を贈り表彰することを決定いたしました。
羽生善治氏は、将棋界を牽引(けんいん)する棋士の第一人者として、平成8年に初めて七冠を同時に制覇するなど、比類なき功績を重ね、将棋界初の永世七冠という歴史に刻まれる偉業を達成されました。
井山裕太氏は囲碁界を牽引する棋士の第一人者として、顕著な功績を重ね続け、年間グランドスラムを含む、囲碁界初の2度の七冠同時制覇という歴史に刻まれる偉業を達成しました。
両氏は、多くの国民に夢と感動を、社会に明るい希望と勇気を与えることに顕著な業績がありました。
両氏のこのような業績を讃(たた)え、内閣総理大臣から国民栄誉賞を贈り、表彰することにいたしました。なお、表彰式は2月13日に総理大臣官邸で行う予定であります。」

私は、約20年来の将棋愛好家なので、羽生竜王の国民栄誉賞の授与について、なぜこの時期に授与を同氏が受託されたのかいくつか分析して行きたいと思います。
この分析の意義は同氏が1996年に同氏が将棋界初の七冠独占をした時に、国民栄誉賞の内示を「未だ若輩であるので」辞退したことがあるからです。
(ちなみに、この時は内閣総理大臣顕彰を授与されました。)

1.将棋AIによるトップ棋士の撃破
昨年4月および5月に実施されました電王戦において、佐藤天彦名人が将棋ソフトがPonanza(ポナンザ)に連敗するという出来事がありました。
→これをもって、将棋AIソフトのプロ棋士に対する優勢が確立したと言われます。

2.三浦弘行九段の将棋ソフト不正使用疑惑騒動
三浦弘行九段(第29期竜王戦挑戦者)が、将棋ソフトを使用して対局中にカンニングを行ったのではないかと疑われ、三浦が休場の意向を示したにも関わらず、期限までに休場届を出さなかったことを理由に、直前に迫っていた竜王戦を含む12月31日までの公式戦出場停止となったが、後の第三者委員会の判断では、不正行為に及んでいたと認めるに足りる証拠はないと結論付けられた。
結果として、日本将棋連盟の谷川浩司会長、島朗常務理事(いずれも当時)の2名が辞任。さらにその後、臨時総会で青野照市、中川大輔、片上大輔の解任が可決されるなど、将棋界全体を揺るがす問題となった。
→将棋連盟のガバナンス能力に疑問符がついた出来事です。

3.トップ棋士の若返りとタイトルの分散
1996年は、タイトルホルダーが当時25歳の羽生のみでしたが、
2018年現在は、羽生竜王・棋聖(47歳)のほかに、佐藤名人(29歳)、菅井王位(27歳)、中村王座(29歳)、渡辺棋王(33歳)、久保王将(42歳)とタイトルが分散しています。
→棋界全体のレベルの底上げとトップ層の若返りが見て取れます。

◆私の分析
今回の羽生善治竜王の国民栄誉賞の意味合いは、表文以外にも、羽生が上記1.2の出来事で落ちた将棋界の権威回復と3.で台頭してきたトップ層への激励と威嚇等の意味合いがあるかと思います。
また、年齢と実績を重ねた今なら、国民栄誉賞を受けても”男の嫉妬”から棋士社会から浮いた存在にならないという読みもあるかと思います。
総じて、七冠独占から約22年経過する現在でも将棋界の顔が羽生善治という個性であることが推察できます。


勉強のため、ブログランキングに参加しました。 よろしければ、投票お願いします。

人気ブログランキング

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。