SSブログ

信長の野望と小説(16) [歴史小説とゲーム]

正月から年始にかけて、「戦国はるかなれど~堀尾吉晴の生涯~ 著:中村彰彦」を読んでおりました。
堀尾吉晴といっても、すぐに分かる人は余程の戦国好き以外は分からないかもしれませんが、
豊臣家の三中老のひとり、もしくは天守が国宝指定されている松江城を築城した人物ということで
あれば、多少は印象に残っているかと思います。

◆同著を読んで描かれた堀尾吉晴の読後の印象
出世の極意は、果敢と細部への注意にあり。
交渉の極意は、用心と畏敬にあり。
守成の極意は、人脈と人和にあり。

1.出世の極意は、果敢と細部への注意にあり。
信長からは「堀尾は毎度のこと」,秀吉からは「仏の茂助ではなく鬼の茂助」と言われるほどの勇将です。
ちなみに、「堀尾は毎度のこと」とは堀尾が兜首を取って来ることは毎度のことだから、兜首の主を調べることは不要ということです。
それだけの彼の武勇に信頼を持たれております。
また、彼は作中で13匁(20.48mm)、20匁(23.58mm)、30匁(26.99mm)の鉄砲を順繰りに使用させて
、火縄銃の鉄砲過多使用による煤詰まりが原因である暴発事故を防いでおりました。
暴発事故の改善を秀吉から指示された際に、30匁が最も煤詰まりが少ないということを鉄砲頭からヒアリングしたことから、
着想を得たものです。調整上手の「仏の茂助」の面目躍如です。しかし、やっていることは、鉄砲の連射ですから「鬼の茂助」です。
彼は小牧・長久手のしっぱらい(殿軍)を行うなどの致死率の高い任務を引き受けることが多く、やはり「鬼の茂助」ですね。

2.交渉の極意は、用心と畏敬にあり。
堀尾吉晴は城の受け取りや検死等の地味だけど、重要な任務を任せられています。
特に、鳥取城の餓え殺し後の城の受け取りの貢が白眉です。
同役の古参武士が兵糧攻め後の鳥取城に入るのを嫌がる中、悠然と入ってゆき、かつ吉川経家を始めとする敵方の武士への畏敬
は失わないが、まじかで切腹する様を検分することを毛利方から勧められるも縁側から(すぐ動けるように)姿勢を正しつつ
死にゆく武士への畏敬を失わない様。城を受け取りの際に、降伏した敵へ粥を振る舞う、城を清めるまでが仕事であるという
様全てが見事です。

3.守成の極意は、人脈と人和にあり。
彼は、関ヶ原前夜に徳川家と前田家の間を取り持ち、家康をして「天下静謐となりしは、堀尾殿の功と存ずる」と言わしめました。
徳川には、井伊を中心とした重臣層への根回し、前田には共に古参の織田家・豊臣家として仕えた誼という人脈・コネを
総動員して仲裁に努めました。結果、当時京洛や北陸付近で発生しそうだった大規模な武力衝突や難民の発生を防いでいます。
これは彼なりの経験・人脈・信頼があったからでしょう。
その後、関ヶ原の役の際には次男の堀尾忠氏を家康方に従軍させ、戦後に出雲松江24万石の大封を得ております。
(そこら辺は、抜け目ないですね!!)
今で言えば、人脈の太いバイプレイヤーという存在でしょうか?

また、隣国の中村氏が紛争を起こし、関ヶ原の直後に改易されたのに比べ、堀尾家では出雲の寺社の復興に努めたり、
地域の代表である父老との融和をはかるなど、藩政の充実に努めております。
継嗣の忠氏が早世したため、孫の養育にあたりながら、藩政をまわしていた姿には畏敬を覚えざるを得ません。
慶長16年(1611年)6月17日に死去した。享年69歳。

組織を安定的に動かしていくためには、いぶし銀のような彼のような存在が、時に名将や軍師よりも必用な時があると考えます。
(豊臣家秀吉没後の動乱や幕末の内乱直後の東北諸藩の結末を考えるとそう思わざるを得ません。)

▼以下に、電子書籍版のリンクを掲載しました。すぐ読みたい方はこちらを参照願います。
Kobo







(Kindle)
Amazon
戦国はるかなれど(上)~堀尾吉晴の生涯~

戦国はるかなれど(上)~堀尾吉晴の生涯~

  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2015/11/20
  • メディア: Kindle版



戦国はるかなれど(下)~堀尾吉晴の生涯~

戦国はるかなれど(下)~堀尾吉晴の生涯~

  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2015/11/20
  • メディア: Kindle版



余話として、信長の野望-大志-での評価
統率63 武勇58 知略67 内政75 外政72
 評価、低すぎませんか!?コーエーテクモ社の担当さん!!

▼広告(スマートフォンのみ)▼



ブログランキングに参加中です。よろしければ、投票お願いします。

人気ブログランキング
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。